百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
その時
竜ノ神が、ひらり。と羽織をなびかせた。
その瞬間、辺りに吹いていた風が、すっ、と止む。
…!
その場にいた全員が、はっ、と息をのんで
竜ノ神を見つめた。
と、次の瞬間。
全員揃うのを待っていたかのように、
竜ノ神がシュン!と、真上へ舞い上がった。
っ!
逃げ回るつもりなんだ…!
その時、芝狸の大声が山に響いた。
『撃て!数ではこちらが勝っておる!
撃って、撃って、撃ちまくるんじゃ〜っ!』
!
それを開戦の合図とするように
紺と遥が、一斉に空へと舞い上がった。
か……
数では有利かもしれないけど
向こうは空飛べるんじゃんっ!
私は、空を飛び回る竜ノ神へ鬼火銃を向ける。
パァン!パァン!
乾いた銃声が、山に響き渡った。
周くんと遊馬も、追いかけながら竜ノ神を狙う。
まるで、鬼ごっこを楽しむかのように
竜ノ神は、素早く私たちの鬼火銃の弾を避けていく。