百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、窓を開けて外を見た。
ギシ。と音が鳴る。
うっ、こわ。
どんだけ古いの?このアパート。
しかし窓の外には、そんなクレームさえ忘れるほどの光景が広がっていた。
「な……なにあれ……!」
私は、目を疑った。
アパートの窓の外から見えるのは、山と森と、墓のはずだ。
なのに…なんで?!
「“金色の………桜”だ……」
山の中腹らへんに、一部分だけ金色の森が広がっていた。
そして、町の上空には、金色の花びらがひらひらと舞い踊っている。
まるで、空から金箔を降り注いだように、一面がキラキラと光っていた。
どういうこと………?!
私、視力がおかしくなったの?!
必死で目をこするが、その光景は変わらなかった。
……夢じゃ……ないんだ。
この花びらは、あそこから飛んできたの…?
その時、私は無意識に玄関へと向かっていた。
なぜだかわからないけど
“あの金色の桜が見たい。”
そう思った。
私は、その花びらに導かれるように、アパートを飛び出したのだった。