百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

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「っ!」


ドサ!と、地面に着陸すると

私は頭を抱えながらゆっくり立ち上がった。


…!


そして、そこに広がる光景に目を奪われる。


…何………これ………!


周くんと遊馬も、目を見開いてその光景を眺めた。

そこには、空に舞い踊る、金色の桜。

花びらが、金箔のように、キラキラと辺りの森を輝かせている。


……まるで、私が一番最初にこの桜の花びらに誘われた日のように。


そして、私は確信を胸に、口を開いた。


「…芝狸…。」


名前を呼ぶと

芝狸は、すとん、と地面に降り立ち、私を見上げる。

私は、目の前の金色の森を見上げながら言った。


「…絶対、竜ノ神はここにいるよ。」


その言葉に、芝狸と二人も、私を見る。


「竜ノ神は、あの神社で、私たちが来るのを待ってる。」


すると、遊馬がわくわくした瞳で森を見つめながら言った。


「…こんなに豪華に迎えられてんだから、早く行ってやんないとな。

…行きますか?社長。」


芝狸は、それを聞くと

ぶん!と、尻尾を振り上げて叫んだ。


『行くぞ、皆の者!

神社に向かって、全速力じゃ〜〜っ!』



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