百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


その時、遥が、紺をまっすぐ見下ろしながら口を開いた。


「……契約を無効にすることと、お前に復讐すること…。

両方やってやろうと思ってたんだけど……、やっぱ、無理だわ。」


………!


私は、その言葉に心臓が鈍く鳴った。


周くんや、遊馬

芝狸、紺が、動揺した目つきで遥を見上げる

すると、遥が、低く言い放った。


「………悪いな、社長。

俺は、“ひとつ”に決めた。」


その時

紺が顔を歪めて、震える声で言った。


「……一体……何をするつもりですか…?

………おい!聞こえているのか……?!」


遥は、答えることなく、軽く目を細めて紺から目を離すと

大きな声で、宝石に叫んだ。


「…竜ノ神……お前の力で………

“芝団三衛門狸”に、最強の妖力と、永遠の命を…………!」






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