百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


「な…………!」


紺が、激しくうろたえて、言葉を失う。


………え…


い………

今、なんて…………………?!


と、次の瞬間

遥の持つ宝石から、低く妖しい声が響いた。


『……願い………しかと聞き届けた…!』





パリンッ!と、宝石が砕け散る。

私が、っ!と息を吸った

その時。

遊馬に抱きかかえられている芝狸が、ぽうっ!と光り輝きだした。

どんどん、芝狸を取り巻く妖気が強大なものになっていく。


『…な………なんじゃ、コレは…?!』


轟々と、風が辺りに吹き荒れる。

その時、芝狸が、はっ!と目を見開いた。

すぅっ、と、光が消えていく。


……!


私と周くんは、呆気にとられて芝狸を見つめた。

芝狸は、光が消えた後も大きな妖気を放ったままでいる。


……まさか………

本当に、最強の妖力を手に入れたの……?!


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