百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


すると、次の瞬間

低くドスの効いた声が、ぼそ、と聞こえた。


「な………ん………だと………?」





私は、びくっ!と体を震わせて声の方を見た。

するとそこには

禍々しい妖気を放つ、紺の姿。


どくん!


それを見た瞬間、私の心臓が鈍く鳴る。

と、次の瞬間

辺りに紺の叫び声がこだました。


「お………おのれぇぇぇっ!!!!

遥……………貴様………!自分が何をしたか分かっているのか……っ!!!」





ビキビキ…!と、周りの空気が大きく震えた

まるで、紺の妖気に反応するかのように、どんどん空気が歪んでいく。

その時、紺の体が黒い瘴気で包まれ始めた。

少しずつ、狐の耳と、尻尾が生え始める。

一歩も動けずに、その光景を見ていると

紺が、細く閉じられていた瞳をカッ!と見開いた。

それは、以前見た、黄金の瞳ではなく

真っ赤に燃えるような色を宿していた。



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