百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
「っ!」
遥の体が、ぐらり、と傾いた。
!
は……る…………?
周くんが、絶句して、上空の遥を見つめた。
「遥っ!!!」
私が名前を呼んだ瞬間
遥はそのまま、真っ逆さまに地面に落ちていく。
!
う…………
嘘でしょ…………?
と、次の瞬間
遥が、パァン!と空に向かって鬼火銃を撃った。
すると、ものすごい速さで一つの影が遥の元へと飛んできた。
………あれは…………
一心くん………!
一心くんは、そのまま遥に向けて扇子を、
ぶん!と煽いだ。
すると遥の体は、すうっ、と再び浮かび上がって
そのまま一心くんに連れられて遠くの空へと飛んでいく。
『おのれ!!遥!!!逃がさんぞ!』
紺が、再び鬼火銃を上空の遥に向けた瞬間
芝狸が、ぱっ!と、紺に向かって腕を突き出した。
『っ?!』
紺は、金縛りにあったようにピクリとも体を動かせない。