百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
…!
芝狸が紺の動きを封じているの…?!
すると、紺は、ギリ…!と歯をくいしばって空に消えていく遥を睨んだ。
『…必ず…………必ず、探し出して、殺してやる…!
必ず!!!!』
紺はそう言い残すと
ふっ!とその場から姿を消した。
!
しぃん…………
一気に、森が静けさを取り戻す。
私は、ドクドク騒ぐ胸を抑えきれずに、荒く呼吸をしながら空を見つめた。
もう、遥の姿はどこにも見えない。
その時
周くんの声が、静かにその場に響いた。
「………九条が………
カンパニーを裏切るなんて………。」
私は、はっ!として、周くんを見た。
周くんは、状況を飲み込めない様子で、
ただ、遥の消えた空を見つめている。
「…………遥……………。」
私の、彼を呼ぶ声は、しぃん、とした神社に響いて
そのまま、森の闇の中へと消えていった。
そして……
遥は、その日を境にして
姿をぱったりと消してしまったのです。
*第4章・完*