百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


“………九条が………

カンパニーを裏切るなんて………。”


周くんが、あの日呟いた言葉が頭をよぎる。


…周くんは、今も考えているはずだ。


九条が、何を思ってあの結論に達したのか…

どうして……カンパニーの一員として、働いていたのか…。


すると、芝狸がクッションから、むくり、と起き上がって、窓の外を眺めた。


『あれから、紺の妖気も感じない。

…一体、今何が起こっているのじゃろう?』


私は、ぐっ、と手のひらを握りしめて、心の中で叫ぶ。


………遥


あんた、今、一体どこで何をしてるのよ?


紺から逃げ回ってるんだろうけど、元気なら顔ぐらい見せてよ…!


結局、自分の願いを犠牲にして、紺への復讐を選んだの?


……遥は……いつからそのことを考えていたの…?


すると、その時、コンコン、と事務所の扉を叩く音がした。


……?


私たちが一斉に扉へと目を向けると、そこに現れたのはサングラスをかけた一人の“青年”の姿。



「……お邪魔するよ。

……全員揃ってるな?」


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