百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
すると、凛は、ぱぁ!と顔を輝かせた。
さっきの負のオーラからは考えられないほどの笑顔だ。
そして、俺を嬉しそうに見つめながら言った。
「ちょっと、もう一回言って!」
…はぁ?
「だから、また来年行けば……」
「そこじゃない!!」
なんだよ?
俺は、すっ、と立って俺の隣に寝転んだ凛をちらり、と見た。
すると凛は、俺のシャツの袖を小さく掴んでそっ、とささやく。
「……ずっと、私の側にいてくれるの?」
!
俺は、急に甘えだした凛から目を逸らして、ドキドキと鳴る鼓動を落ち着けながら答えた。
「…そんなの………当たり前だろ。
お前の隣は去年から俺の定位置なんだから」
俺がそう小さく言うと、凛は俺の背中に
ばっ!と抱きついた。
「やった〜!絶対、花火大会行こうね!
冬は、イルミネーションだよ!約束!」
子犬のように浮かれる凛が、俺は愛しくてしょうがなかった。
しっぽをぶんぶん振ってるイメージが頭に浮かぶ。
「おい、後ろから抱きつくなよ。
前に来てくんないと抱きしめらんねぇじゃん」
「ふふ……今日はこれでいいの〜。
遥の背中を堪能してやる。」
……なんだよ、それ……。