百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
****
それから数日後。
アパートの部屋で寝転がる俺は、だいぶ終わりに近づいた春の風を一人で感じていた。
凛が言ってたように、凛からは、連絡が全く来なくなった。
……やっぱり、忙しいのか?
あいつ…。
俺は、何も表示されないスマホの画面を見て小さくため息をつく。
……まぁ、夏を越えたら、いつも通りに戻るよな。
花火大会行けなかった時用の慰めの言葉でも考えとくか。
そう考え、ゆっくり起き上がった
その時だった。
「初めまして…ではないですね。
ご無沙汰しています、九条 遥君?」
?!
突然、部屋の中に妖麗な男の声が響いた。
ま………まさか………
凛の言う通り、本当にお化けが出たのか?!
驚いて後ろを振り向くと
そこには、いつか見た紫色の着物を着た男が立っていた。
!
絶句して、奴を見つめる。
………こいつ………どこから?!
って言うか……この男、凛のバイトの……