百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
俺が黙ったまま警戒していると、男は沈黙を破ってうやうやしく頭を下げた。
「突然お邪魔して、すみません。
私は、カンパニーの社長の葛ノ葉 紺と申します。」
俺は、じろ、と奴を睨んで尋ねる。
「…凛はここには来てないぜ。“妖”が、何の用だよ?」
すると、奴はいきなり細い瞳を、カッ!と、見開いた。
!
どくん!と、心臓が鳴る。
まるで、思考を鷲掴みされたような感覚に陥った。
………な…
なんだ……一体……?!
すると奴は、ふっ、と瞳を閉じると同時に口を開いた。
「…私たちの研究のことを、少なからず知られてしまっているようですね…。」
!
………こいつ………
今、俺の頭の中を読んだのか…?
さらに警戒を強めて奴から少し後ずさりすると、奴はニヤリ、と笑って続けた。
「…あなたと凛さんのことは、ずっと監視係の瞳を通して見せさせていただいてました。
……あなた……“加護者”ですね?」