百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
どくん!!
鈍く心臓が鳴り、凛の言葉が頭をよぎる。
“何があっても、カンパニーなんかに入るんじゃないよ!”
俺は、ごくり、喉を鳴らして答えた。
「……俺は、お前らなんかの仲間にはならねぇぜ。
引き入れるつもりで来たんなら…帰ってくれ。」
すると奴は、くくく…と笑って、俺を見た。
「……無理に、とは言いませんが、必ずあなたにはカンパニーに入ってもらいますよ。
……あなたから“入れてくれ”と、言うことになるかもしれませんがね。」
………!
何言ってんだ、こいつ…。
俺が“自分から頼みに行く”……?
そんなことあるわけねぇだろ…?
すると、奴は不敵な笑みを浮かべて言った。
「あなたがカンパニーに入ってくれるというなら、どんな条件でものみましょう。
……気が変わったら、いつでもカンパニーに来てください。」
俺は、じろり、と奴を睨み続けて言った。
「……たしか、さっき俺と凛のことを“監視してた”って言ったよな?
…凛のストーカーなのか?お前…!」
すると、奴は表情を変えずに答えた。
「…私は、あの女がカンパニーを裏切って、狸に情報を流したりしないか見張っているだけですよ。」