百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
“狸”………?
するとその時、奴がちらり、と窓の外を見て言った。
「あぁ。早速、監視係からの連絡が来たようですね。」
俺が、ぱっ!と奴の視線の先に目をやると、窓の外から、一つ目の小さなカラスが飛んでくる。
……こいつに俺たちは監視されてたのか…?
すると、そのカラスを腕に乗せ、瞳を眺めた奴が眉をぴくり、と動かして
そして、俺に向かって口を開いた。
「…一つ、教えてあげましょう。
たった今、自宅で凛さんが倒れられて、病院に運ばれたようです。」
!!
………た……倒れた?!
「…俺を動揺させて、取り込むつもりか?」
すると、奴が、ずいっ!と腕に乗せたカラスを俺に近づけた。
カラスの瞳を見ると、そこには倒れている凛の姿が映る。
!
俺は嫌な予感がして、ばっ!とその場から走り出した。
………本当だったのか…!
もう、こいつに構ってる場合じゃねぇ!
すると、玄関から出て行く時
背後から奴の声が響いた。
「………私はいつでも、“逢魔街十三番地”でお待ちしておりますよ。
……九条…遥君。」
俺は、鍵をかけることもせずに、病院に向かって走り出した。