百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
「凛さんも“加護者”です。こちらとしては、失いたくない。
……あなたが“死ぬまで”凛さんの抜けた穴埋めをしてくださるなら話は別ですが?」
………。
俺は、紺をまっすぐ睨んだまま、答えた。
「…わかった。お前の下僕になってやる。」
紺は、その瞬間
ガタ!と、立ち上がった。
そして、瞼を大きく開いて、獲物を狩るようなギラギラした瞳を向けた。
「いいでしょう!その条件、のみましょう。
では…この“契約書”にサインを……!」
俺はもう、後戻りするつもりはなかった。
……ごめん、凛。
俺は、お前との約束を破るよ。
カンパニーに、入る。
お前の隣にも、いられないかもしれない。
凛が、泣いてもいい。
………生きててくれれば、それでいい。
────そして、俺は
銀色の鬼火銃を首から下げた。
“凛さんは、闇のかけらの実験が終われば、契約通り解放しましょう。
…いえいえ、契約違反ではありませんよ。実験は、もうすぐ終わるのですから。あと一回で、かけらは完成します。”
紺の言葉が、アパートへと帰る俺の頭の中に響いた。