百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



「……嘘だ。

遥は、そんなこと思ってない。」





凛は、最後の気力を振り絞るように叫んだ。


「遥は、嘘つきだ!

遥は、誰よりも優しいからそんなこと言うんだよ!」


「嘘なわけねぇだろ!

俺は、お前とはもう会いたくねぇんだよ!俺をカンパニーなんかと巡り合わせた女なんて、顔も見たくねぇ!」


凛は、負けじと言い返す。


「ねぇ、紺とどんな“契約”を結んだの?!脅されたりしたの?!

私を辞めさせるために一体どんなことを…」


俺は、ドン!と、凛を壁に追いやった。

そして、今まで凛に向けたことのない冷たい瞳をして、凛に言い放つ。


「俺はもう、お前のことなんて好きじゃねぇんだよ!」


凛は、俺を見つめ続けた。

そして、ゆっくりと口を開く。


「……嘘だよ。」


俺は、カッ!として叫んだ。


「嘘じゃねぇって、何度言ったら………」


すると凛は次の瞬間

俺の言葉を遮って、強く言い放った。


「遥が嘘つくときは、絶対私のこと“お前”って呼ぶもん!

嘘つき!わかるよ!!私には、わかるよ!!」






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