百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

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何時間経ったのだろう。

音が聞こえなくなった後も、俺はずっと放心状態で部屋の中にいた。


………凛。


俺の頭の中に浮かぶのは、凛のことばかりで

自分の気持ちを自分でコントロール出来ないことに苛立ちを覚えた。


……ダメだ。

外の空気でも吸いに行こう。


俺は、一人でアパートの部屋を出た。


……なんだよ。


自分で選んで、全てを捨てといて

今さら“後悔”なんて、顔を出してくれるなよ。


理性では、凛を助けられてよかったと思ってるはずなのに。

心の奥が、痛くてしょうがねぇ。


「………バカなのは俺か…。」


俺が、そう呟いて空を見上げた

その時だった。

目の前の上空に、黒いもやのようなものに包まれている物体が飛んでいるのが見えた。


………なんだ、あれ…?


だんだんと、こちらに近づいてくる。

その時、俺の首に下がる鬼火銃のネックレスが、熱を帯び始めた。


………“妖”…ってことか?


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