百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

俺は、ネックレスを外して鬼火銃を変化させる。

鬼火銃を受け取ってから、妖を見ることが多くなった。


……俺に、撃てってことか?


俺は、鬼火銃を静かに目の前の黒い物体に向けた。


パァン!


そして、初めて引き金を引いた。

その瞬間、俺の銃から銀色の光の弾丸が一直線に飛んでいく。

そして、弾丸は空飛ぶ物体をかすめ、黒いもやをパァッ!と消した。


「……!」


すると、黒いもやに包まれていたものが、はっきり見えた。


………あれは……

子どもか…?!


そこからは、傷ついて血まみれになる子どもが見えた。

よく見れば、鼻が長く、翼が生えている。


………いや、あれは………

“天狗の子ども”………?


すると、目の前の天狗は、空から一直線に地上目がけて落下し始めた。





俺は、とっさに走り出して

その天狗の子どもを抱きとめた。


……この天狗………すごい怪我してるけど…

一体、何なんだ……?


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