百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

俺がまじまじと見つめていると、腕の中の天狗が、ぱち、と、目を開けた。


『……ん……。』





しゃ………喋った…!


俺は、動揺しながら天狗に話しかける。


「おい……お前、大丈夫か?」


すると、天狗は、驚いて目を見開いて、そして弱々しく答える。


『…はい…!ありがとうございます…。

……このままでは、かけらの闇に飲み込まれるところでした!…まさか、人間の方に助けられるなんて…』


………“かけらの闇”………?


俺は、天狗に尋ねる。


「何でこんなに傷だらけなんだ?

何があった?」


すると、天狗は悲しそうな瞳をして言った。


『実は……ある研究所から逃げてきたんです。

そこでは“闇のかけら”というものを作っていて……さっき、それが完成して、研究所にいた妖は皆かけらを埋め込まれたんです。』





“研究所”………!


それって、凛のいる所だよな?

“闇のかけら”は、完成したのか……!


これで、凛は………

凛は、カンパニーを抜けられる……!



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