百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


…周くん、私が隠してたの怒ってるかな…。


すると、私の視線に気がついた周くんが、ぱち、と私と目を合わせた。

そして、少しの沈黙の後、苦笑を浮かべて言った。


「…九条に、無理やり同居させられたんだよね?

詠ちゃん、優しいから。」


……え?


私は、きょとん、として周くんを見つめる。


「…お……怒ってないの?」


周くんは、私の言葉に少し目を見開くと、また優しく微笑んで答えた。


「…どうして僕が…?

偶然起こったことと、事情があったことなら仕方ないよ。」


…!


私は、予想とは違う周くんの態度に、少し気が抜けてしまった。


…結構、あっさりしてるんだな…。


…あの遥の過去を知った後にバレたからかな?


すると、遊馬がちらり、と周くんを見て言った。


「え?周、気になんねーの?

佐伯が九条と何をしてたか。」





私は遊馬にすごいスピードで反論する。


「ちょっと、その言い方やめてよ!

何もしてないって!」


すると、周くんは私の顔を少し見つめて、そして、ぱっ、と視線を逸らして言った。


「…んー…何をしてたかは気にならないけど

九条から詠ちゃんを奪いたいとは思うよ。」


え?


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