百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


事務所が、どこかソワソワしたような空気に包まれた時

窓ガラスを、コンコン!と叩く音がした。


……?


目を向けると、そこには闇丸の姿が。


『おぉ〜!よく帰ってきたのぉ!

よしよし、どうじゃった?九条は見つかったか?』


芝狸が窓を開けて、闇丸を事務所の中へと入れながらそう言った。

三日前、闇丸を箱から出してから

芝狸は事務所の使い魔として、闇丸を遥探しに飛ばすようになった。


……芝狸のやつ、ちゃっかり手なずけてるんだから…。


すると、闇丸が何か、カァカァ、と芝狸に向かって話している。

芝狸は、それを聞いてがっくりと肩を落とした。


『…そうか。まだ見つからんか。』


その言葉に、事務所にいた全員が落胆する。


…遥…やっぱり見つからないんだ。


すると、芝狸が私たちを見て言った。


『やはり簡単には見つからないようじゃな。

とりあえず、昼頃からはお前らも外に出て、夢ヶ原を探し歩いてみたらどうじゃ?』


私はその言葉に、こくん、と頷いた。


…何か手がかりでも見つかればいいけど。


その時、遊馬が何かを思いついたように言った。


「じゃあ、二人一組になって、別ルートをそれぞれまわるか。

その方が、たくさんの場所を探せるだろ。」





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