百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
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「悪かったな、佐伯。俺とペアで。」
昼間の、比較的賑やかな住宅街。
二人並んで歩きながら、遊馬が私に向かって言った。
私は、遊馬を見上げながら答える。
「いいよ。公平にジャンケンで決めたんだから。
……いいなぁ…雅。」
「そこで明らかにテンション下げるなよ。」
私は、目を細める遊馬を見て、ふふ、と笑って言った。
「うそうそ。遊馬と一緒で良かった。
…あの会話の後じゃ、周くんとまわるのちょっと緊張する。」
私の言葉に、遊馬は少しの沈黙の後、私にとんでもない爆弾を落とした。
「…周って、佐伯のこと好きなのかな?」
!
突然の発言に、私は、かぁっ!と顔が赤くなる。
「な……何言ってんの!
周くんが私を好きなわけないじゃん!」
あんな、優しくて、かっこいい“王子様”が、私を好きだなんて……
か…考えただけでニヤけが止まらない。
すると、遊馬が私を見ながら言った。
「俺は、周と佐伯はもうとっくに付き合ってるもんだと思ってたけどな。
……お前ら、俺がいない間にデートしてたみたいだし。」