百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
「人間が空飛べるわけないでしょ!」
私は、じろ、と疑いの眼差しを向ける。
……この人、頭おかしい人なのかな?
それとも、冗談ばっかり言う、適当男?
私はその時、はっ、とした。
まさか……。
「あんた、妖なの…?」
「ちげーよ。」
青年は即座に否定して、窓枠に腰掛けた。
じゃあなんで屋根の上なんかに……
コイツ何者なの…?
私が不審者を見るような視線を青年に送っていると、彼が私を見ながら言った。
「なぁ。それ、本物の“鬼火銃”か?」
!
私は、首に下げているネックレスを手で隠すように握る。
コイツ……
鬼火銃のこと知ってるの?
私は青年を睨みながら答える。
「だ、だったら何…?」
すると、青年は、ふっ、と微笑んだ。
「お前…それが何だか知ってんの?」
ドキ、と胸が鳴った。
私は警戒心を強めて答える。
「妖を浄化するものでしょ?」
すると、青年はネックレスを握っている私の手を取った。
きゅっ、と軽く握られる。
心臓が大きく鳴る。