百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


どっかん!!


心臓が爆発して、頭が混乱し始めた。


「んなわけないでしょ!

そ…それに、水族館のやつはデートじゃなくて、紺の作戦を止めに行っただけで…。」


…まぁ、私は完全にデート気分だったけど…


すると、遊馬がニヤリ、と笑って言った。


「まぁ、本人同士は気づかないものだよな。

見てるこっちは周の気持ちなんてバレバレだけど。」


え?

どういうこと?


私が?を浮かべていると、遊馬は私へと問いかけた。


「…佐伯ってさ、周のどこが好きなの?」


え?!


私はさらに動揺していく。


…“どこが”……って言われても……


「…優しいところとか、私が元気ない時にさりげなく励ましてくれるところとか、一緒にいて安心するところとか……

…まぁ、周くんは誰にでも優しいけどね。」


すると、まだ言い途中の私に向かって、目を細めて言った。


「……佐伯がニブい原因は、そこか。」


「え?」


私が、きょとん、として遊馬を見ると、
遊馬は、はぁ、と息を吐いて続けた。


「…周は誰にでも優しい、って思ってるから周からのアピールに気づかないんだよ。

…周、結構佐伯のこと特別扱いしてるぞ?」





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