百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

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「今日も、二人一組で探そうか。」


次の日。

昨日に引き続き遥を捜索するために、私たちは事務所に集まった。

周くんの言葉に、全員が頷く。

すると、遊馬が雅の肩を抱いて言った。


「俺、ちょっとコイツに用があるから。

今日は借りるぜ。」





驚く私をよそに、遊馬は、しれっ、として雅と何か話し込んでいる。


……“用”って、何?

また、変なこと企んでるんじゃ……


すると、それを聞いた周くんが私を見て言った。


「じゃあ詠ちゃん、今日は僕と行こっか。」


っ!


「う…うん。」


私は、微かに高鳴る胸を周くんに気づかれないように、そっ、と抑えて頷いた。

その様子を、遊馬と雅が密かに見ていたことに、私と周くんは全く気がついてなかったのです。


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