百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
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午後三時過ぎに事務所を出た私たちは
昨日と同じルートをもう一度まわることにした。
うぅー…。
いつも以上に意識しちゃって、うまく話せない。
私は、ちらり、と周くんの顔を見上げながら様子を伺った。
周くんは、どこか考え込むような顔をして黙っている。
何か、話題……
私は、周くんに向かって口を開いた。
「…あの…遥、見つからないね…。」
必死で頭をひねって考えついた話題は、遥のことだった。
周くんは少し曇った顔で答える。
「…そうだね…。」
…周くん、元気ないな。
何を考えてるんだろう?
その時、私は、はっ!として
周くんに少し躊躇しながら尋ねた。
「……もしかして、お姉さんと遥のこと気にしてるの?」
「…え?」
周くんが私の言葉に、ぴくり、と肩を震わせた。
……あんなに落ち込んでたもんね。
遥のことずっと憎んで、言い合いばかりしてたこと
周くんはすごく後悔してるみたいだし。