百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
すると、周くんは苦笑して答えた。
「…九条と姉さんの過去は、最初はショックだったけど…
もう、だいぶ落ち着いたよ。ありがとう。」
私は、ほっ、として胸をなでおろす。
…良かった…。
雅が言ったみたいに、自分を責めて苦しんでたらどうしようかと思った。
私はその時、ふと思う。
…あれ?
じゃあ、周くんは一体何のことで悩んでいるんだろう?
と、その時
私の瞳に、ぴょん、と跳ねた周くんの髪の毛が映った。
…!
あれって……
寝ぐせ?
その瞬間、ガッ!と胸が鷲掴みにされた。
か……
かわいいっ……!
あの、周くんが………!
私がその琥珀色の髪の毛を見つめていると、周くんがその視線に気づいて
ぱっ!と襟足を隠した。
私は、つい、ふふ、と笑う。
「珍しいね、周くんが寝ぐせついてるなんて
…今日は寝坊しちゃったの?」