百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
すると、周くんが照れたように髪の毛を隠しながら言った。
「う…うん。昨日は、ちょっと眠れなくて…」
…眠れなかったの?
私は心配になって尋ねる。
「どうしたの?…何か、悩み事?」
…そりゃ、事務所のことも遥のこともあるし色んな悩みがあるとは思うけど…
すると、周くんは私の顔を、じっ、と見つめて答えた。
「…いや、何でもないんだ。
…僕の勝手な“ヤキモチ”が原因だから。」
…え?
“ヤキモチ”…?
私は、ふと昨日の事務所での会話を思い出す
“え?周、気になんねーの?
佐伯が九条と何をしてたか。”
………。
………まさかね…。
昨日の同居の話を気にしてたわけじゃないよね?
……って。
私、本当にバカだ。
…周くんは、全然気にしてる様子なかったじゃん。
…そんな私に都合のいい話、あるわけない。