百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


すると、周くんが照れたように髪の毛を隠しながら言った。


「う…うん。昨日は、ちょっと眠れなくて…」


…眠れなかったの?


私は心配になって尋ねる。


「どうしたの?…何か、悩み事?」


…そりゃ、事務所のことも遥のこともあるし色んな悩みがあるとは思うけど…


すると、周くんは私の顔を、じっ、と見つめて答えた。


「…いや、何でもないんだ。

…僕の勝手な“ヤキモチ”が原因だから。」


…え?

“ヤキモチ”…?


私は、ふと昨日の事務所での会話を思い出す


“え?周、気になんねーの?

佐伯が九条と何をしてたか。”


………。

………まさかね…。


昨日の同居の話を気にしてたわけじゃないよね?


……って。

私、本当にバカだ。

…周くんは、全然気にしてる様子なかったじゃん。


…そんな私に都合のいい話、あるわけない。


< 396 / 512 >

この作品をシェア

pagetop