百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

私は、驚いて言葉が出なかった。


……今……

なんて……?


私が………

遥を………“好き”……?


私は、周くんに向かって首を振った。


「ち……違うよ!

私は、遥のことなんか、少しも…」


すると、周くんは私の言葉を遮って言った。


「…自分では気づいてないだけだよ。

…見てれば…わかる……。」


弱々しく、そう続けた周くんに私は必死で否定をした。


「そんなことない!…私は、ずっと遥のことが嫌いだった!

今だって行方不明で、みんなに迷惑かけて…私はただ心配してるだけで…好きとかじゃ…!」


すると、周くんは私の手を
きゅっ、と握って言った。


「……じゃあ、どうして闇丸の映像を見たときに、あんなに傷ついた顔をしてたの…?」


……え?


ぴくん、と体が震えた。


“傷ついた顔”………?

< 401 / 512 >

この作品をシェア

pagetop