百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、驚いて言葉が出なかった。
……今……
なんて……?
私が………
遥を………“好き”……?
私は、周くんに向かって首を振った。
「ち……違うよ!
私は、遥のことなんか、少しも…」
すると、周くんは私の言葉を遮って言った。
「…自分では気づいてないだけだよ。
…見てれば…わかる……。」
弱々しく、そう続けた周くんに私は必死で否定をした。
「そんなことない!…私は、ずっと遥のことが嫌いだった!
今だって行方不明で、みんなに迷惑かけて…私はただ心配してるだけで…好きとかじゃ…!」
すると、周くんは私の手を
きゅっ、と握って言った。
「……じゃあ、どうして闇丸の映像を見たときに、あんなに傷ついた顔をしてたの…?」
……え?
ぴくん、と体が震えた。
“傷ついた顔”………?