百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


私たちが無言で警戒していると、八雲はニヤリ、と笑って言った。


「…君たちもまだ、九条 遥の行方は掴めていないようですね。」


っ!


その言葉に、目を見開く。

すると、八雲は予想だにしない言葉を口にした。


「…私と取り引きしませんか?

…もし、そちらの“加護者”さんが“一人”で今から私の言う場所に来ていただけるのなら、九条の居場所を教えてあげましょう。」


…!!


……い……

…今なんて………?!


「…どういうことだ……?

お前、居場所を知っているのか…?」


周くんが低い声でそう尋ねると、八雲は表情を変えずに答えた。


「…私は、竜ノ神の件が終わった後、雅のように紺様とは別で九条の居場所を探していたのです。

……そして、ついに突き止めた。」





私は、ベンチから立ち上がって叫んだ。


「遥は?!…どこにいるの?!」


すると、八雲はギラリ、と鋭い視線を向けて答えた。


「それは、取り引きに応じていただけないとお教え出来ません。

……奴が生きていることだけは教えてあげましょう。」





……遥は………

やっぱり生きていたんだ!


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