百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
すると、周くんが八雲を睨んで言った。
「…お前、紺の部下だろう?紺も九条の居場所を知っているのか…?」
!
そうだ……!
紺がもし知っているとしたら、迷わず殺しに行くはず……!
すると、八雲は冷静な声で言った。
「…いえ、紺様は知りません。
カンパニーが実質崩壊した今では、もはや私は紺様の部下ではありませんので。」
その言葉に、私は、はぁっ、と安心して息を吐いた。
……紺は…まだ知らない…。
これは、チャンスだ…。
何が何でも、紺より先に遥を見つけないといけない…!
私は八雲に向かって尋ねた。
「“加護者”ってことは…私があんたの言う通りにすれば…
遥の居場所を教えてくれるってこと…?」
すると、それを聞いた周くんは、私に向かって声を上げた。
「ダメだ、詠ちゃん!危険すぎる!
こいつの言うことは、罠かもしれない!」
すると、八雲はニヤリ、と笑って言った。
「…この取り引きに応じるか応じないかは、あなた次第ですよ、佐伯 詠さん?
…今日の午後五時。逢魔街十三番地でお待ちしております。」
…!
次の瞬間
八雲はそれだけ言い残して、ふっ、とその場から姿を消した。