百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


どくん…!


心臓が鈍く鳴る。


……“午後五時”…

“逢魔街十三番地”………!

そこに行けば、遥の居場所がわかる……!


すると、周くんが私に向かって口を開いた。


「…まさか詠ちゃん、行こう、だなんて思ってないよね……?」


…!


私は、ふっ、と周くんの顔を見上げる。

周くんは、真剣な顔をして私を見つめていた

その瞳には、動揺と、迷いの色が浮かんでいる。

私は、静かに答える。


「でも…行けば、遥の居場所がわかるんだよ…?

ずっと探してた、遥に……会える…。」


すると、周くんが、ぎゅっ!と私の手を握った。

そして、まっすぐな瞳で私に言う。


「ダメだ!八雲の言ったことが、全て本当とは限らない。

詠ちゃんをおびき出す罠かもしれない!」




………。

確かに、その可能性が高い。

あの八雲が、親切に遥の居場所を教えてくれるなんて、考えられない。


だけど………


私は、周くんの手を、ぎゅっ、と握り返す。

はっ!とする周くんに、私は言った。


「…罠かもしれない……。

でも………それでも………

遥を死なせたくはないの………。」


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