百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


周くんが、大きく目を見開いた。


………わかってる。

周くんも、遥を助けたいと思ってること…。

その思いを押し込めてまで、私の身を守ろうとしてくれてること……。


………でも……


ここでチャンスを逃したら、八雲は紺に寝返るかもしれない。


……何をされたとしてもいい。


私は、遥に助けてもらってばかりだった。


これからは……いや、今回だけは……

私が、遥を助けたい。


私は、真剣な瞳で困ったように私を見つめる周くんに、にこり、と微笑む。


「…大丈夫。私は、お姉さんみたいに、カンパニーのせいで周くんの前からいなくなったりしない。

…絶対、帰ってくるから。」


「!」


周くんは、はっ!としたように私を見つめた

するり、と繋いでいた手がほどける。

公園の時計を見ると、もうすでに、針は午後四時を指していた。





あと一時間しかない…!

急いで町まで戻らないと…!


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