百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
その時だった。
「わっ!押すなってバカ!」
「?!」
叫び声が聞こえた、と思った瞬間
背後からガサガサガサ!と大きな音がした。
私と周くんは、とっさに離れて後ろを振り向く。
すると、そこには茂みから団子のようになって倒れている遊馬と雅と、芝狸の姿があった。
!!
かぁぁっ!と、一気に顔が赤くなる。
「ち…ちょっと!一体みんなして何してるの?!
…芝狸まで!!」
ってか、今の全部見てたの?!
すると、雅が少し頬を赤く染めながら視線を逸らして答えた。
「…相楽が、“周の様子が変で、佐伯と一緒にいれば何かが起こる気がする。”
って言うから……。」
「おい、全部俺のせいにするなよ!
雅だって周と佐伯の関係を気にしてたじゃねーか!」
二人は言い合いながら必死で動揺を隠す。
“やべっ。見つかっちった!”
と、思っていることがバレバレだ。
すると、周くんがゆらり、と遊馬たちの前に立って言った。
「………とりあえず、このことは後でゆっくり話そうか。」