百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
すると、青年が私の反応を見ながら、
じっ、と私の瞳を見つめた。
そして少しの沈黙の後、私に言う。
「あの警戒心の強い竜ノ神がねぇ…。
お前、一体何者なんだ?」
私は、ぴくり、と体を震わせて言い返す。
「それはこっちのセリフよ!変態!」
すると青年は、表情を変えずに答えた。
「俺は変態じゃねぇ。
九条 遥(くじょう はる)。」
…!
その時、ざぁ、と風が吹いた。
静かな沈黙が、私たちを包む。
九条……遥。
私は、何故だか彼の視線から目が離せない。
「お前は?」
その問いかけに、ごくり、と喉を鳴らして答える。
「佐伯……詠…。」
彼は、ふーん…、と呟いた。
「竜ノ神に気に入られるなんて、普通の人間じゃないな、お前。」
!
“普通の人間じゃない”?
「あんたに言われたくないわよ!
いきなり現れて、二度も変態行為をするなんて、信じらんない。」
すると、彼は「別に襲おうとした訳じゃねぇだろ。」とトーンを変えずに答える。
「何?エロいことされると思った?」
!
「ば…バカ!!そんなわけないじゃん!」