百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
ぞくっ!
私の方からは、周くんがどんな顔をしているかわからないけど
声と、遊馬たちの顔を見る限り……
…相当怖い顔してるんだろうな…。
周くんは、はぁ、と息を吐いて言った。
「…遊馬と雅くんは、詠ちゃんをアパートまで送って行って。
芝さんは、僕と一緒にカンパニーに付いてきてもらう。」
…!
遊馬たちは、顔を見合わせて戸惑ったようにちらちら、と私と周くんを見る。
「………いいね?」
びくっ!
周くんの低い声に、遊馬たちは全力で首を縦に振った。
私は、遊馬たちを見ながら考える。
……遊馬たちが出てこなかったら…
私、どうなってたんだろう…?
すると周くんがくるり、と私の方を向いた。
!
驚いて、私は、かぁっ、と頬を赤らめる。
………さっき……
周くんは、“告白”……
してくれた………よね…?
すると、周くんは少し顔を赤くして、優しく私に言った。
「ごめん、詠ちゃん。
帰ってきたら、また話したい…いいかな?」
!
私は、ぎこちなく、こくん、と頷いた。
周くんは、それを見て微笑むと、芝狸を抱き上げた。
そして、遊馬たちに向かって言う。
「…頼んだよ。」
「「!」」
遊馬と雅は、周くんの言葉に頷いた。
そして、私たちは、公園を二手に分かれて出たのだった。