百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
ぴちょん。
ぴちょん。
小さな雫の落ちる音が路地に響く。
僕は、周りを見回しながら暗い路地を進んでいく。
……気味が悪いな…。
九条が僕をカンパニーから遠ざけてきた
おかげで、ここに足を踏み入れるのは初めてだ。
……九条も、姉さんも、いつもこんなとこに来てたのか……。
細く曲がりくねった路地を進んでいくと
やがて道の先に光が見えた。
……あそこが終着点か………?
思い切って路地を出ると
僕はその先に広がる空間に絶句した。
そこは、この世とは思えないような真っ白な空間。
………なんだ……ここ………
よく見ると、地面には何やら建物があった
ような跡がある。
………カンパニーの跡地か……?
すると、低い声が辺りに響いた。
『………加護者じゃないな?
お前は………あの研究員の弟か。』