百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
僕は、八雲に狙いを定めて
鬼火銃の引き金を引く。
パァン!パァン!
何もない空間に銃声だけが響き
八雲は糸を駆使して弾丸を弾く。
……くそっ…!
簡単には浄化できないか…!
その時
八雲がギラリ、と赤い瞳を光らせた。
シュルルルッ!!
八雲の体から、こちらに向かって
凄まじい速さで糸が放出される。
…!
まずい!
僕はとっさに頭を回転させる。
僕は、相楽くんみたいに的確に糸を狙って
浄化させるなんて技は出来ない。
……僕一人なら、この糸に絡まったら
喰われて終わりだ。
………“僕一人なら”……!
その時、芝さんと目が合った。
芝さんが、こくり、と頷く。
その瞬間
僕の体に八雲の糸がシュルッ!!と
巻きついた。
どんどん絡まり、そのまま
八雲の糸に包まれていく。
『ハーッハッハッハ!
このまま糸の繭の中で窒息してしまえ!』