百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
八雲がそう高笑いをした時だった。
『…?!』
八雲の糸で作られた繭から、芝さんの魔力が溢れ出した。
『…な…何だ?!』
次の瞬間
繭を突き破るように、1発の弾丸が放たれる。
パァン!
芝さんの魔力で強化された弾が、八雲を捉えた。
「……終わりだ、八雲!闇に帰れ!」
『!』
黄金の銃弾が、八雲を撃ちぬく。
『ぎゃぁぁああっ!!!』
辺りに光が溢れる。
八雲は、叫び声をあげながら
徐々に人間の姿へと戻っていった。
………!
黒い瘴気が、浄化されていく……!
その時、光がパァン!と消えて、八雲の体が砂のようにサラサラと崩れだした。
……!
何が起こっているんだ……?
すると、それを見た芝さんが、ぽつり、と呟く。
『あれだけ闇の力を使ったんじゃ。
もう、こやつは妖界に還れない。』
!
僕は、かろうじて姿を保っている八雲に
近づいて、チャキ、と鬼火銃の銃口を向ける。
そして、荒い息で立ち尽くしている八雲に静かに尋ねた。
「九条はどこにいるんだ…?
居場所を吐いてから逝ってもらう。」