百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


八雲がそう高笑いをした時だった。


『…?!』


八雲の糸で作られた繭から、芝さんの魔力が溢れ出した。


『…な…何だ?!』


次の瞬間

繭を突き破るように、1発の弾丸が放たれる。


パァン!


芝さんの魔力で強化された弾が、八雲を捉えた。


「……終わりだ、八雲!闇に帰れ!」


『!』


黄金の銃弾が、八雲を撃ちぬく。


『ぎゃぁぁああっ!!!』


辺りに光が溢れる。

八雲は、叫び声をあげながら
徐々に人間の姿へと戻っていった。


………!

黒い瘴気が、浄化されていく……!


その時、光がパァン!と消えて、八雲の体が砂のようにサラサラと崩れだした。


……!

何が起こっているんだ……?


すると、それを見た芝さんが、ぽつり、と呟く。


『あれだけ闇の力を使ったんじゃ。

もう、こやつは妖界に還れない。』





僕は、かろうじて姿を保っている八雲に
近づいて、チャキ、と鬼火銃の銃口を向ける。

そして、荒い息で立ち尽くしている八雲に静かに尋ねた。


「九条はどこにいるんだ…?

居場所を吐いてから逝ってもらう。」

< 416 / 512 >

この作品をシェア

pagetop