百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
すると、八雲は掠れる声で呟いた。
『……はっ。
……悪いが、九条の居場所は知らないね。』
…!
それを聞いた芝さんが、尻尾を逆立てて
叫んだ。
『お主、しらばっくれるつもりか!
いい加減諦めて早く言え!!』
八雲は、はぁ、はぁ、と息をしながら
ククク…、と笑った。
『しらばっくれるも何も……
私は本当に知らないのですよ…。』
僕は、ギロ、と八雲を睨んで言う。
「やはりお前は、嘘をついて詠ちゃんを
この場におびき寄せようとしてたのか!」
すると、八雲は目を細めた。
そして、小さく咳をすると
僕と芝さんを見つめて答えた。
『いや…佐伯 詠が来ることは予想していなかった。
……私の狙いは、お前だよ。結城 周…!』
……!
僕は言葉を失って八雲を見つめた。
八雲に鬼火銃を向けたまま尋ねる。
「…今の、どういう意味だ…?」