百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



……何この人!


少しでもイケメンに見つめられて緊張した私が馬鹿みたい!



すると青年が、ぷっ、と吹き出した。



「お前…変な女だな。

お前みたいなやつに会ったのは二回目だ」



青年は、ケタケタと面白そうに笑っている。



な…何よ。


勝手に面白がって!



そして、彼はひとしきり笑うと、はぁー、と軽く息を吐いて

ぱっ、と腰を上げて隣の窓枠に飛び移った。


ガラ、と窓を開ける。



……え?


ちょっとちょっと!!



私は、彼に向かって言う。



「そこ、空き部屋でしょ?

何勝手に入ってんの?変態な上に、不法侵入者になりたいわけ?!」



すると、青年は、はぁ?と怪訝そうな顔をした。



「ここ、俺の部屋だけど?」



………。



「えぇっ?!!!」



私は驚いて声を上げた。



う…嘘でしょ?!


隣の角部屋は、私が引っ越してきた頃から明かりがついてなかったから

てっきり人が住んでないんだと思ってた!


まさか、この変態男が隣の部屋の住人だったなんて!!


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