百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
無言のまま様子を伺っていると
紺がニヤリ、と笑みを浮かべて言った。
『手荒なことをしましたが、これもあの
“裏切り者”が姿を現すまでの辛抱ですから。
…おとなしくしていて下さいね。』
!
私はその言葉に
紺をキッ、と睨んで尋ねた。
「…ここは、一体どこなの…?」
すると紺は、さらり、と答えた。
『“妖界”ですよ。』
「えっ?!」
私は、驚いて目を見開く。
…ここが……“妖界”…?
どうして、ここに私を……。
すると、紺が私の考えを読み取ったように
口を開いた。
『この世界は、妖が暴れるのにちょうど
いいんですよ。
…人間界より、ずっと妖気が出せる。』
私は、ぞくり!として紺を見つめた。
…そうか…こいつ…
遥を完全に殺す為に…
自分に有利な土地に遥をおびき出そうと
してるんだ。
私は、紺を睨みながら言う。
「遥は人間だよ…?
妖界に、自由に来れるものなの?」