百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


すると、紺は笑みを浮かべて答えた。


『鬼火銃の持ち主なら可能です。

…その“通行証”は、一往復することにしか
使えませんけどね。』


…!


…ということは、私も自力で帰れるかも
しれないんだ?


すると紺が、カッ!と目を見開いて
私に言い放った。


『“自力で帰ろう”なんて考えはすぐに
捨てた方が身のためですよ。

逃げようものなら、足を折ります。』


「っ!」


…そうか…

紺は、私の心が読めるんだ…。


……折られたら最悪だ。

今は……従うしかない…。


私が体の力を抜くと
紺は、すっ、と目を閉じて言った。


『……いい子ですね。それでいいんですよ。

…遥君は、必ず来ますから。』





私は、それを聞いて目を見開いた。


……。


そして、動揺しながら紺に向かって口を開く。


「……遥が、来ないかもしれないじゃない。

どうして、“来る”なんて言い切れるの?」


すると、紺が無表情になって

小さく答えた。


『…遥君は、あなたを愛してしまったからですよ。』


…!


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