百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


すると、紺は低く喉を鳴らして
くっくっく、と不気味に笑った。

そして、地獄の底から響くような声で
小さく呟く。


『…出来るものなら、やってみなさい。

私が君たちに負けることなど、あり得ない話ですがね……!』





紺の言葉を聞いて、芝狸が周くんを見上げて言った。


『…すまない、周。

わしは、最強の妖力を手に入れたと言っても相手を傷つける術は使えないのじゃ。

紺との勝負は鬼火銃を持ったお主らに任せるしかない…!』


すると、周くんは優しく微笑んで、トッ、と芝狸を地面に下ろした。

そして、強い決意を宿した瞳で芝狸を見つめる。


「大丈夫、僕たちに任せて。

芝さんには、僕たちに戦う為の妖力を分けてもらえるだけでありがたいから。」


それを聞いて、芝狸が瞳を潤ませて
こくり、と頷いた。


……戦うことができない芝狸は、周くん達に妖力を分け与える。

そうすれば、加護者でなくても紺と戦えるんだ…!


遊馬と雅も、周くんの言葉を聞いて

覚悟を決めたように、まっすぐ紺を睨んだ。


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