百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
「……行くぞ、雅。
周の前の道を俺たちで切り開くんだ。」
そう言った遊馬は、ギラリ、と獲物を狙うような瞳を紺に向ける。
雅は、その言葉に、チャキ…、と鬼火銃を手に持った。
「要は、突っ走ってくアンタの援護をすればいいんだろ?
……紺を仕留めるつもりで。」
遊馬が、ニッ、と笑みを浮かべた。
そして、地面をタン!と強く蹴る。
遊馬と雅は、一直線に紺へと走り出した。
「周!」
遊馬の声が辺りに響き渡った。
「紺は俺と雅に任せて、お前は佐伯の元へ
行け!
周が、佐伯を奪い返すんだ!」
…!
私が目を見開くと同時に周くんが力強く頷いた。
その時
紺が、瞳をカッ!と開いて目の前に迫る遊馬と雅を睨む。
『身の程知らずの人間共が!
……お前達など、真の妖力を使うまでも
ないわ!』