百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

その時、紺が静かに言い放つ。


『…いくら私を撃ち抜こうったって無駄ですよ。

私の心臓は、決して攻撃されないところに
ありますから…。』


…!


え………?

どういうこと……?


私が眉を寄せたその瞬間。

動けないままの遊馬と雅を見た紺が、周くんに向かって真っ黒い鬼火銃を向けた。


っ!


遊馬たちが目を見開く。


…あれは、新型の鬼火銃…!

まずい…!


二人は今、周くんを守れる体勢じゃない…!


私が息を呑んだその時。

紺が躊躇なく鬼火銃の引き金を引いた。


パァン!


辺りに銃声が鳴り響く。


「周くんっ!!」


私が叫び声が響いた、次の瞬間

周くんの体が、ぱっ!と消えた。





『?!』


その場にいた全員が目を見開く。


…消えた…?!

周くん、紺に消されたの…?!


しかし、紺を見ると、彼も驚いたように動揺している。


…ということは、紺じゃない…?


と、その時

凄まじい妖力の気配を感じた。

驚いて視線を向けると、そこには体じゅうが光に包まれる芝狸の姿。

私は、それを見て、はっ!とする。


まさか…!


次の瞬間。

私の目の前の空中に、周くんが、ぱっ!と現れた。


っ!


思わず息を漏らすと、周くんが私に向かって手を伸ばす。


「詠ちゃん!!」


< 444 / 512 >

この作品をシェア

pagetop