百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
その時、紺が静かに言い放つ。
『…いくら私を撃ち抜こうったって無駄ですよ。
私の心臓は、決して攻撃されないところに
ありますから…。』
…!
え………?
どういうこと……?
私が眉を寄せたその瞬間。
動けないままの遊馬と雅を見た紺が、周くんに向かって真っ黒い鬼火銃を向けた。
っ!
遊馬たちが目を見開く。
…あれは、新型の鬼火銃…!
まずい…!
二人は今、周くんを守れる体勢じゃない…!
私が息を呑んだその時。
紺が躊躇なく鬼火銃の引き金を引いた。
パァン!
辺りに銃声が鳴り響く。
「周くんっ!!」
私が叫び声が響いた、次の瞬間
周くんの体が、ぱっ!と消えた。
!
『?!』
その場にいた全員が目を見開く。
…消えた…?!
周くん、紺に消されたの…?!
しかし、紺を見ると、彼も驚いたように動揺している。
…ということは、紺じゃない…?
と、その時
凄まじい妖力の気配を感じた。
驚いて視線を向けると、そこには体じゅうが光に包まれる芝狸の姿。
私は、それを見て、はっ!とする。
まさか…!
次の瞬間。
私の目の前の空中に、周くんが、ぱっ!と現れた。
っ!
思わず息を漏らすと、周くんが私に向かって手を伸ばす。
「詠ちゃん!!」