百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
その時
ふっ!とその場の空気が変わった。
ビキビキ、と空が割れるような妖気が辺りに広がる。
……!
何…?!
はっ!として妖気を辿ると、紺がギラリ、と目を光らせて遥を睨んでいた。
ぞくっ!と背筋が震えた時。
紺の低い声が響く。
『やっとお出ましですか……。
待ちくたびれましたよ、遥君……!』
紺の言葉に、私と周くんたちは顔を強張らせる。
遥は険しい表情で紺を上空から見下ろした。
すると、次の瞬間
紺の体が黒い瘴気で覆われ始めた。
ズズズ…、と紺の体が変化していく。
………あ……
…あれは………!
私が絶句して見つめていると
怒りに心を奪われた紺は、真っ白な大きな九尾の狐の姿になった。
鋭く光る金色の瞳は、獲物を串刺しにするような視線を遥に向けている。
……これが……
紺の“本来の姿”………!
その時、地の底から聞こえるような低い声が辺りに響き渡った。
『………“遥”………今度こそお前の息の根を止めてやる……!』
!