百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


次の瞬間

紺が力強く地面を蹴って頭上の遥に向かって飛びかかった。

遥は、紙一重で紺の鋭い爪を避けると、素早く紺に向かって鬼火銃を向ける。


パァン!パァン!


銃声が響き渡り、空中戦が始まった。

私と周くんたちは、目を奪われてその攻防戦に見入る。

遥は、紺の攻撃を軽やかに避けながら、次々と紺に向かって引き金を引く。

背中に翼が生えたように飛び回るその姿に、私は声が出せずに

ただ、手のひらを握りしめた。


さすが、いつも空を飛んで妖を浄化しているだけある。

遥は、紺と対等に戦えている。


……怪我を気にする素振りもない。


はらはらしながら見ていると

紺が、黒い瘴気で作られた刃を遥に向かって勢いよく飛ばした。





はぁっ!と息が漏れた次の瞬間

遥は、紺の放った刃を一つ残らず鬼火銃で撃ち落とした。

目の前が、浄化の光で包まれる。


っ!


咄嗟に目をつぶると、遊馬の声が耳に届いた


「……やっぱり、九条はすげぇな…。

あの刃を一つ残らず撃ち落とすなんて、出来ないぞ普通……!」


その言葉に、私は上空の遥を見つめる。


…確かに、遥は相当上手い。


このままいけば、紺を追いつめられる
かもしれない……!


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