百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


その時、周くんが遥に向かって叫んだ。


「九条!紺にそのまま攻撃しても無駄だ!

奴の心臓は、別の場所にある!」


遥が、周くんの言葉に微かに目を細めた。

紺の攻撃を避けながら、空を飛び回る。


……!

そうだ………!


心臓を見つけない限り、紺を倒すことは一生出来ない……!


と、その時。

紺がピタリ、と動きを止めて空に向かって九尾を逆立てた。


ゴオッ!!


強い突風が辺りに吹き荒れる。


………何?!


その場にいた全員が辺りを見渡した時

芝狸が大きな声で叫んだ。


『!見てみぃ!!

狐の面をつけた、妖の大群じゃ!!』


?!


その言葉に、一斉に遠くの空を見上げる。

すると、東の方向から、狐の面に操られた妖たちの群れがこちらに向かって飛んできている。


…!

まさか………


紺が手下を増やすために呼び寄せたの…?!


ここには普通の人間を連れてくることが出来ないから、妖を操り人形にして戦うつもりなんだ!


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