百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


遊馬が、ちっ、と舌打ちをして周くんと雅に向かって叫ぶ。


「俺たちも行くぞ!

九条が紺とやり合ってる間は、俺たちがあの妖どもを引きつけるんだ!」


周くんと雅は、力強く頷いて妖たちに向かって鬼火銃を向けた。

それと同時に、芝狸は妖力を放出させて周くんたちの補助に回る。


…まさか、ここに来て狐の面を利用される
なんて……!


私は、こみ上げる不安を抑えながら周くんたちを見つめた。

やがて、妖の大群は私たちの近くまで飛んできた。

周くんたちは、そこへ果敢に突っ込んでいく。


パァン!パァン!


いくつもの銃声が響き渡った。

浄化されるにつれて、辺りに目を覆うほどのまばゆい光が溢れる。

確実に浄化されていく妖たちだが、ざっ、と数えただけでも五十はいる。


……鬼火銃を使っているみんなの体力が勝つか、妖が勝つか……

予想できないほどギリギリだ。


……みんな………

どうか、無事でいて………!


私がギュッ!と手のひらを握りしめた時。

大群の中の一匹の妖の動きがピタリ、と止まった。


……?

何があったの………?


周くんたちも、その一匹の様子に気づいたようで、ちらちらと注意を払っている。

すると、次の瞬間

その一匹の妖が、苦しみ悶え、狐の面がガタガタと震えだした。





私は目を見開いてその妖を見る。

その時、異変に気付いた雅が叫んだ。


「狐の面が暴走する!一旦引け!」




“暴走”………?!


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